
この本の前半あたりに、「コンテンツ・コンテナ・コンベア」という概念が提示されています。
この「3つのC」の概念はGoogleの及川卓也氏の発案のものだそうです。
例えば旧来の新聞。
コンテンツ = 各記事
コンテナ = 新聞紙面 (基本自社の取材記事を編集して紙面を作る)
コンベア = 新聞配達網
これがインターネット革命のなかで
コンテンツ = 各記事
コンテナ = Yahoo!トピックス(各社の記事をアグリゲーションし、自分で編集権をもつ)
コンベア = インターネット
となり、新聞の構造不況が露呈します。コンベアの変化よりも、真ん中の「コンテナ」の状況の変化が大きい。これまで、広告は新聞広告として新聞社に入っていたのが、トラフィックの多いYahoo!トピックスの周辺に付き始めます。コンテナの部分がもっとも金のにおいがするところです。
同様に、旧来の音楽。
コンテンツ = 楽曲
コンテナ = CDソフト
コンベア = CD販売店
これが、
コンテンツ = 楽曲
コンテナ = iTunes Store
コンベア = インターネット
となります。
今では音楽の販売の1/4はiTunesだそうです(→Macin' Blogさんの記事)
アップルの取り分の話はべつにしても、音楽が金に換わる大事な場所がiTunes Storeという「コンテナ」であることには違いありません。ここが唯一金のにおいのするところです。
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書きたかったのは、そのビジネス構造の変革ではなく、iTunes Storeという大事なコンテナの「場所」の変遷です。

・最初iPodとiTunes Storeの時代、StoreはMac/PC側にしかありませんでした。iPodはあくまでそのMac/PCのStoreで買ったものを吸い出して消費するためだけのものでした。
・iPhone/iPod touchの時代になり、Storeはその端末にも存在するようになり、端末でも買えるしMac/PC側でも買えるようになりました。
(私の場合、iPhoneと同期を頻繁に行うのが面倒になり、殆どのアプリはiPhoneで直接買うようになっています。)
・そしてiPad。この中にアプリとして存在するiBooksはiBook Storeも包含しています。包含だけでなく、本を買うStoreはこの端末だけになりました。(OS4.0になるとこれにiPhoneも加わりますが、いずれにせよ、購入は端末だけです)Mac/PCは単にバックアップだけの場所になりました。
以上のように、Storeの場所は、
Mac/PC本体だけ → Mac/PC本体でも端末でも → 端末だけ
という風に、すこしづつ「母艦の手から離れていっている」ということです。
これは中長期的にみて、「デジタルコンテンツの購買」をMac/PCという母艦から、意識的に、専用端末であるiPhone・iPod touch・iPadへ移行させようとしている意図があるのではないかと思うのです。
これは、「欲しいものは、欲しくなったときに、目の前にあるデバイスからすぐに手に入れることができる」という利便性を強固なものにしようとしているのかな、と思います。ある意味「地産地消」のように(やや意味不明)。
すいません。ちょっと消化不良です(苦笑)。もう少し考えます。
ただ、これらのコンテンツ売買で金が動くStoreの位置づけは、ハードの売り上げ、広告(iAd)の売り上げと同様に、ビジネスの大事な部分を占めているはずだ、という思いはあります。
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コメント
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タッチUIをiPhone → iPod touch → iPadと、自然に慣れさせていったように、コンテンツの購入場所も徐々に意図的に「Mac/PC本体だけ → Mac/PC本体でも端末でも → 端末だけ」に移行させているのだと思います。意図的に!!
端末は常に手元にあるわけですから、真の意味での「オンデマンド」が実現するのではないかと思ってます
こんばんは。
やはり意図的ですかね。
となると、あとはiTunes Storeのアカウントさえ直接入力できたら、もう母艦からは巣立つことができることになりますね。やはりiPadは「パソコンの次世代」なのでしょうね。